部隊の稽古に入る直前まで、映画の撮影に没頭していた。
旬の俳優はやっぱり多忙なんだ、と浅はかな思い込み。
実は昨年の後半、俳優はほとんど休業状態だったという。
「楽屋」では、主演女優に役を代わるよう迫る、若手女優を演じる。
その役とはあべこべに、演じることへの執着は薄い。
この数年、映画にテレビドラマに引っ張りだこ。
立ち止まることなく飛び続けた末、「一回、ブレークする時期があってもいいのかなって」、羽を休めてみた。
テレビ番組で、旅をしながら自分の言葉で話す仕事をした。
すると、カメラの向こうにいる人たちが傷つかないだろうか、と気になる自分がいた。
それよりは、セリフのある役で演出家の指導を受けながら、表現を作り出したい。
「お芝居の楽しさを再確認できました」
演技や存在を「透明感」と形容されることが多い。
「フラガール」「ハチミツとクローバー」のように、ピュアな少女の姿が印象的なせいか。
だが、本人はピント来ないようだ。
「日によって違うし、話す相手によるだろうし。みんなと同じ、多面的ではあると思うんです」。
確かに、「リリイ・シュシュのすべて」「百万円と苦虫女」など、激しさを秘めた役もお手のものだ。
デビュー当時に比べ、「すぶとくなった」らしい。
人の話は一喜一憂せずに消化し、自分の中に残さないようにしている。
契機は、07年秋に出演した舞台「オセロー」にあった。
演技に自信か持てず、初めて「芝居をしたくない」ほどり恐怖感に襲われた。
作品への否定的な評価も聞き、「お客さんが少ないといいのに」と落ち込んだ。
そんなとき、演出家蜷川幸雄に話しかけられた。
演劇への愛を感じた。
舞台を一緒に作る人たちを信じて演じよう、と決めた。
心にぶれがなくなった。
映画のイメージが強いが、舞台の魅力も知っている。
何回も同じことを繰り返すのが好き。
セリフや動作の意味、解釈に、常に発見がある。
「幕が開いたら舞台に立つ人たちでどうにかしないといけないのって、スリリングですよね」
演じてみたい役は特にない。
「自分からやりたい、というのは私のやり方に合わない」。
どこでも溶け込む自然素材のように、しなやかで、したたかだ。
あおい・ゆう
85年、福岡県生まれ。
06年の映画「フラガール」で数々の映画賞。
雑誌モデル、CMでも活躍。
「楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき」は10日〜6月14日、
東京・三軒茶屋のシアターとラム。
| 蒼井 優(あおい・ゆう) | ||||
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